ASD
概要
ASD（自閉スペクトラム症）は、対人コミュニケーションの苦手さ・こだわりの強さ・感覚の過敏さなどを特徴とする「発達の特性」です。
「性格の問題」や「育て方のせい」ではなく、生まれつきの脳の特性によるもので、得意なこと・苦手なことの差が大きく出やすいのが特徴です。周囲の理解や環境の調整によって、生活のしやすさは大きく変わります。
主な特徴
- 対人コミュニケーションの苦手さ
相手の表情・言い回し・「空気」を読み取るのが難しい
冗談やあいまいな表現を、そのまま受け取ってしまいやすい
会話のキャッチボールが続きにくい、話し方が一方通行になりやすい
初対面の人や集団の場面が強いストレスになる - こだわりや見通しの大切さ
予定の変更や急な指示がとても苦手
自分なりのやり方やルールを変えたくない
強い興味のある分野には、驚くほど集中して取り組める - 感覚の過敏さ・鈍さ
音・光・匂い・肌ざわりなどに敏感（人混みや大きな音がつらいなど）
逆に、痛みや暑さ・寒さを感じにくい場合もある
これらの特性が、学校・仕事・家庭での生きづらさや疲れやすさにつながることがあります。
原因・背景
ASDは、脳の情報処理の仕組みの違いによって生じる「神経発達症」のひとつと考えられています。
育て方や本人の努力不足が原因ではなく、生まれつきの特性です。
遺伝的な要因と、環境要因が複雑に関わっていると考えられています。
子どもの頃から傾向がありますが、
「なんとなく生きづらい」
「対人関係や仕事がうまくいかない」
といった悩みを抱えたまま大人になり、大人になって初めてASDが疑われるケースも少なくありません。
ASDそのものに加えて、うつ病・不安障害・適応障害・パニック障害などを併発していることも多く、こちらがつらさのメインとなっていることもあります。
当院での対応方法
これまでの学校生活・仕事・対人関係などを振り返りながら、
「どんな場面で困りやすいか」「昔からの特徴かどうか」を丁寧にお聞きします。
必要に応じて質問票やチェックリストを用い、ASDの特性の有無や、他の発達特性（ADHDなど）の可能性も一緒に評価します。
ASDそのものを「治す」薬はありませんが、
不安・緊張が強い、気分の落ち込みが続く、イライラ・怒りのコントロールが難しい、眠れないなどの症状に対しては、抗不安薬・抗うつ薬・気分安定薬・睡眠薬などの薬物療法を組み合わせ、生活のしづらさを軽減していきます。
お薬だけに頼るのではなく、
- 仕事や学校での伝え方・頼み方
- 指示の受け方（書面でもらう／メモを取るなど）
- 予定の立て方・スケジュール管理の工夫
- 刺激（音・光・人混み）との付き合い方
といった具体的な環境調整・対処方法を一緒に考えていきます。
ご希望があれば、診断書の作成や、必要に応じた職場・学校への説明、支援機関の活用方法についてもご相談いただけます。
「ASDかどうかはまだ分からないが、生きづらさを感じている」という段階でも問題ありません。ラベルを付けることが目的ではなく、「自分の特性を知り、少しでもラクに生きるためのヒントを一緒に探す場」としてご利用いただければと考えています。、ASDの特性の有無や程度を評価します。ASDそのものを「治す」薬はありませんが、不安・抑うつ・イライラ・睡眠障害などの併存症状に対して、抗うつ薬・抗不安薬・気分安定薬・睡眠薬などを用いた薬物療法を行うことで、生活のしづらさを軽減します。特性に合わせて、仕事や対人場面での工夫（指示の出し方／受け方、メモの使い方、予定の立て方など）を一緒に考えます。ご希望に応じて、ご家族や職場への説明、支援機関の活用方法などもご相談いただけます。す。